2023年11月03日
令和5年 第43週 (10月23日~10月29日)
■県内概況■
第 43 週のインフルエンザの定点あたり報告数は 12.67 と注意報基準値の「10」を超え、県全域での流行が見られます。
新型コロナウイルス感染症の定点あたり報告数は 2.55 で、引き続き動向を注視しています。
咽頭結膜熱(プール熱)の定点当たり報告数は 5.09 で、依然として警報基準値を大きく上回っています。
特に中和地区西部では定点あたり報告数が 17.83 で、顕著な地域流行となっています。
A 群溶連菌咽頭炎の定点あたり報告数も 3.74 で、中和地区西部における地域流行が継続しています。
インフルエンザをはじめとする呼吸器感染症の流行が続いています。
主な感染経路は、飛沫感染または接触感染とされています。
飛沫感染防止のため咳エチケット、手洗い、換気、距離、マスクの適切な着用といった基本的な感染対策を続けましょう。
また、接触感染の防止には家庭内でのタオルの共用を避けるなどの対策が有効です。
■アデノウイルスについて■
今年は、咽頭結膜熱が全国的に流行しています。
奈良県でも第 39 週に警報基準値を超えて以来、顕著な流行となっています。
原因ウイルスについて見てみましょう。
アデノウイルス科マストアデノウイルス属のヒトアデノウイルスは、エンベロープをもたない 2 本鎖 DNA ウイルスで、現在のところ A から G の 7 種に分類され、非常に多くの型があります。
ウイルス構造は、正 20 面体のタンパク構造の内部に 2 本鎖の遺伝子 DNA を持ち、各頂点から突起が出た形をしています。
種・型によって咽頭結膜熱のほか、流行性角結膜炎や感染性胃腸炎、出血性膀胱炎、さらには肝炎など多様な疾患の原因になります。
咽頭結膜熱を起こすのは主に B 種の 3 型で、他に C 種の 1 型、2 型、5 型及び E 種の 4 型なども原因になります。
感染経路は接触感染及び飛沫感染が主で、有効な治療薬はなくエタノールによる消毒も効きづらいため、手洗いが感染予防には重要となります。
汚染された物や環境の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムの含まれる消毒薬が有効です(塩素系漂白剤を水で薄めたものでも代用できます)。
保健研究センターでは、県内医療機関で採取された今年の咽頭結膜熱患者検体から B 種の 3 型ウイルスを複数検出し、感染性胃腸炎患者からは F 種の 41 型ウイルスを検出しています。
今後も、患者情報と病原体情報の両面から感染症の発生動向調査を続けます。
※国立感染症研究所感染症疫学センター「咽頭結膜熱・流行性角結膜炎検査診断マニュアル」(第 3 版)より引用
■第43週のトピックス■
インフルエンザが注意報レベルの基準値を超過(奈良県)
>>詳細はこちら
【奈良県感染症情報センター(奈良県保健研究センター)より参照】
(令和5年11月2日更新)